森山あこ　2nd アルバム『パレット』

森山あこの2枚目アルバム。
2枚目アルバムには、料理の音・鳥の声・時計の音など、音をあえて遮断せずにアルバム全体に暮らしの音が散りばめられている。

タイトル『パレット』には、完成間近の絵のパレットの中身は混沌とし、まさに今の森山あこそのもの。これまでやってきたこと、これからやりたいことが凝縮された聴きごたえたっぷりの一枚。


【ライナーノーツ】

森山あこさん『パレット』を聴いて

　あこさんとは何度か共にステージで演奏した。小さな体で古びたピックギターを爪弾いて歌っているあこさんのその隣でベースを弾くのはなかなかスリリングだ。繊細なギターや声を打ち消さないようにわたしなりに注意している。そして彼女の曲はとても解釈が自由で難しい。このアルバムもじっくり聞かないといけません。一言でいってしまえば「拙さと切なさ」がうまい具合に入り乱れて、心地良い気分にさせてくれる。つまり、してやられてしまう訳だ。　

　決して油絵のような重ね塗りはしないで、あくまでも水彩画の透明感が音色ひとつひとつから感じられる。突っつきどころ満載だけど聴き込むうちにこれでいいんだなと思う。あこさんは歌を悩んで作り、楽しんで歌っている。それがしっかりと聞き手に伝わるということはそれだけの表現力を持っているからだ。言葉は平明であるが故「来世で会いましょう」なんて歌われると混乱する。きっとこの混乱をあこさんはクスクス笑っているに違いない。
　　　　　　　　　　　　鈴木博文（moonriders）

（収録曲）
1.ろん
2.ハムエッグ
3.てん
4.ピアノワルツ
5.雲
6.かきあげラグ
7.来世で会いましょう
8.ふたりのやり方
9.さかなの歌
10. you gonna quit me blues